お金の避難所
「希望」という名の経済エンジン:なぜ私たちは円を捨てるのか?
日本に最も足りていないものは何か? 技術でも、人材でも、誠実さでもありません。それは、 「明日は今日より良くなる」という単純な「希望」 です。
経済を動かす「燃料」の正体
システムや制度がいかに整っていても、それを使う人間の中に「希望」がなければ、どんな立派なエンジンも動きません。
希望が欠乏すると、私たちは以下のような行動を取ります。
- 現状維持への執着: 「良くなるイメージ」が持てないため、今あるものを失う恐怖が勝り、変化を拒む。
- 不寛容の加速: 他者の挑戦や失敗に対して厳しくなり、足を引っ張り合う。
そして、この「無気力感」こそが、経済を停滞させる最大の毒です。
「個人の正解」が「国の不正解」になる時
今起きている「円安」や「資金流出」は、この希望の欠如が生んだ必然的な結果です。 これを経済学では 「合成の誤謬(ごびゅう)」 と呼びますが、今の状況はもっと深刻です。
- 個人の視点: 成長しない国の通貨(円)を捨て、成長する国の資産(ドルや株)を買う。これは生存戦略として正しい。
- 国の視点: 国民が賢くなり、防衛すればするほど、さらに円が売られ、国力が削がれる。
誰も間違っていません。全員が「自分の身を守る」という正しい行動をした結果、 全員で乗っている船(日本)の底に穴を開けてしまう。 これが今の日本で起きている「資本逃避(キャピタルフライト)」の正体です。
お金は「希望」のある場所に流れる
お金は本質的に「臆病」であり、同時に「正直」です。 政府が「貯蓄から投資へ」と旗を振った結果、その資金がS&P500(米国)やオルカン(世界)に流れた事実は、残酷なほど明確なメッセージです。
国民自身が、 「日本よりも世界(海外)の方に希望がある」 と判断したのです。
この流れを止めるには、精神論ではなく「日本でビジネスをした方が儲かる」「円を持っていた方が得だ」という 実利的な根拠(=本当の希望) を作る以外にありません。 それがない限り、私たちは静かに、しかし確実に、円という船から脱出し続けるでしょう。